棚田の案山子 ― スズメよけに効く方法
朝の棚田の坂道を歩いていると、突然人の姿が目に入る。一瞬ギョッとするが、子どもたちの作品と気づく。確か小学校で借りている棚田で、毎年賑やかに案山子を立てているのだ。稲の穂が出てくる前にすませておこうというわけだろう。
周囲を見渡すと、そろそろスズメよけを用意する田んぼが見られる。
効果的な鳥よけは?
スズメよけは、オーナーそれぞれ好きな形でしているようで、ざっと見て何らか対策をしている田は2割もないか。8月の草刈りの時に合わせて出穂の前に設置するか、穂が揃ってからでもよし。スズメは実り始めた柔らかい米を狙ってやって来る。対策として考えられる方法は、
1.案山子、鳥よけグッズ、反射板(CDなども)を吊るす、2.反射テープ、テグスなどを張りめぐらす、3.防鳥ネットを張る、くらいか。
その効果のほどは、かの本家の主によると、ネット以外は まったく効かない そうで、下の田では時期になると一面ネットを張っている。少し割り引いて聞きたいのは、この田は今や周囲に田がほとんどなく、近くのスズメが一斉にやって来ると被害も大きい。この小さな動物にオロオロする年老いた主を見ると不憫な気にさえなる。
一方の棚田は、それほど心配はなさそうだ。スズメは一羽来るとそこに集まる習性があるが、田が多く広いので、地元でもネットを張らないところが結構ある。私も手間をかけず、気休めに光り物を吊るしている。上の中では、カラスの形の鳥よけが効くのか、地元の田でよく見かける。いずれにせよ設置するには、風が強いので飛ばされないように注意したい。
実際のところ毎年の収量は、むしろその年の天候や、苗の植え方、どれだけ手を入れるかによる影響が大きく、鳥よけは二の次になってしまう。つまり、ひと粒たりともスズメに食われたくなければ、ほどよい時期に正しいやり方でネットを張るのが最も効果的であるが、そこまでするオーナーはまずいないというわけである。
そういえば、一頃オーナーの「かかしコンテスト」が企画され、あちこち案山子で賑わったことがあった。実用よりも、楽しみの一つとして試してみるのが何よりのことだろう。
畦草はその後…
すっかり刈り取られてから2週間でこのくらいに伸びている。しばらくは手間のかかる草刈りになりそうだ。
やっかいなイネ科の雑草が勢いを増すと高刈りの効果も薄まり、そこに集中して刈り取るしかない。機械刈りでも、目立つイネ科雑草だけ選んで刈りながら、わずかな広葉雑草を残すことで、次第に入れ替わってくるものだ。
ときどき見かける白鷺。朝めしなのか、さかんに何かついばんでいる。コサギのように見えたが、広げた羽の色を見るとどうやらアオサギらしい。静かなときに静かに草刈りをしていると、動物が立ち寄ってくれる。人間も朝飯前の仕事を終えて引き上げるとしよう。
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