そこはオラの田 ― 田んぼにも境界があるという話
7月も半ばにはすっかり田んぼの緑が濃くなり、稲の成長が一目で分かる。雑草もこの時期に一番伸びるから、特に除草剤を入れていない田は、畦草刈りよりは田の草取りを優先せざるを得なくなる。草の話ばかり続くが、ここが力の入れどころなので、もうしばらくお付き合いのほど…
草刈りに行って驚いたわけ
年3回の一斉草刈りを終えた田に向かうと少し残念な気持ちになる。緑豊かな里山が一面土色になっているのだ。もっとも、稲はさらに緑に輝き、一段と成長を見せており、何ら問題はないのだろうが、自分の田んぼを見るとさらに落ち込むことがある。
今度こそビフォーアフター、多くの人は、「きれいに刈ったね」と言うかもしれないが、そうではない。これを見て私は、言葉も出ずに落胆するほかない。
時々下のオーナーさんが上まで刈り込むことがあるので、「こちらでやりますから」と伝えてはいたものの、今回ここまで刈ってしまったのだろうか。ひどく草が伸びたオーナー田(体験コース)でも、注意されるだけで名月会その他の人が刈ってしまいはしないのだが…
広葉雑草はすっかり消え去り、端にはイネ科の雑草が残され、ブルドーザーが通ったかのように地肌が削られてしまっている。手間いらずの畦がすっかり荒地に 変わってしまった。元に戻すにはまた長いことかかるだろう。
畦草刈りの範囲
この棚田では上側と下側の畦を 5:5 の割合で刈るようにルールが設けられている。この地区の慣習によるものだそうで、このような暗黙の了解は田んぼにつきもののようだ。
わが家の本家の主によると、田んぼには 石一つにも 隣の田との線引きがあるらしい。水を止めるのに石を使うときも、そっちの石はだめと言われることがあり、これはルールというより掟だわい、と呆気にとられる。おそらく、それが揉めごとを起こさない先人の知恵なのだろう。
畦草も、膝丈まで伸びてきたら人目が気になるが、くるぶしにかかるくらいであれば気にする必要はないし、誰も文句は言わないものだ。さすがに昔気質の農家のように石ころ一つとまでは言わなくても、手を入れるのは自分の田にとどめたい。
その他草刈りのヒント
高刈りについては前回でまとめたつもりだったが、いくつか参考になる外部ページを取り上げたので、ぜひお読みいただきたい。「高刈り」で検索するだけで、これ以外にも多くの推奨事例が見つかる。
“刈払機などで地際で草刈りをすると、カメムシの好きなイヌビエやメヒシバなどのイネ科の植物が増えてしまいカメムシが減らない、逆に増えてしまうこともあります。”
― 畦の草刈り 草刈りのポイントとおすすめの草刈機 | 農家web
“斑点米カメムシ対策としての雑草管理のポイントは、その畦畔の状態すなわち「植生」であると言えます。”
― イネ科雑草の発生を抑える畦畔の草刈り方法 - 新潟県ホームページ
“いずれの試験においても高く草を刈ることによって斑点米カメムシの発生源であるイネ科雑草を抑えることができた。”
― 草刈りは、やりすぎに注意 草刈り高が問題雑草の発生に及ぼす影響
最後に、草刈りはついつい草一本残さず刈るのがよいと思われがちなところ、実際はそれほどまで刈り込んでも、数cm残して刈っても、一月後の結果に大きな違いはない。それどころか残した草が長期的には良い効果をもたらすことが実証されている。難しいことは何もなく、「土が見えるほど刈り込む必要はありません」と伝え広めてもらえばよいだけなのだ。
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