秋晴れの日を病院で過ごす

11月になって 入院 をするはめになった。季節は秋から冬へ、外は気持ちのよい青空が広がっているはずが、毎日見るのは灰色の世界。それでも週末をはさんで6日ほどで退院できたのは幸い。

いきさつ

例年私は夏の終わりに定期検診を受ける。実は昨年、貧血 らしき症状が出て、検診も案の定こんな結果に(左が今年、右が昨年)。ヘモグロビンなど基準下限値のおよそ10%減で軽めの貧血とはいえ、かかりつけの先生からはさらなる検査を勧められた。男性の貧血は女性と異なり 重大な疾患が隠れている 場合があるらしい。

紹介してもらった篠ノ井の病院でひととおり検査を済ませ、担当医曰く「多少改善しているし、原因不明だけどこれでお終い」だそう。

...ぃ?

検査値を見ても誤差くらいしか変わらず、原因を知りたくて来たのに何ともまあ。幸い胃腸からの出血はなさそうなので大事にならず一安心はしたものの、どうしていいやら。また、血清鉄は標準範囲にあり、鉄を摂取して良くなるものでもないようだ。そんなこんなで一年がたった。

入院から退院まで

今年の猛暑は昨年よりは過ごしやすく、体調を崩さず夏を過ごして検診を受けた。ところが結果は変わらず。さらには、食が進む季節になっても食が細く、食べられない日が何日が続いて体が動かなくってしまった。見かねた姉が市内の病院に入院の手続きをしてくれ(姉よ感謝)、病院いらずだった私にとって初めての入院。不安の中、点滴をつなぎ検査をして静養する毎日は、息苦しさはあるものの、何をしなくてもいい生活だ。

病院食はこのとおり、最初は 介護食。ご飯もミキサー食で、初日は食欲もなく一口二口食べるだけ。ようやく落ち着くと完食できたがお昼だけパンにしてもらった。パサパサの食パンと牛乳がごちそう。

最後の2日ほどはようやく固形になっり、やはり形があると美味しさを感じる。一食500円にしては物足りないが、物価高で少ない人手で作る食事に文句を言ったらバチが当たるな。

この頃になると点滴も外し、だいぶ体力も回復してきた。数歩歩いてゼイゼイ言っていたのと大違い。介護食だけで満腹になったのとはすっかり変わり、食事だけではやや物足りずに売店で買った煎餅をボリボリ食べた。

こうして予定より早めながら、担当医に認めてもらい退院となった。めでたしめでたし。最後のした検査について後日聞いたところ副腎疲労 と関連があるらしいと言われた。ホルモンの材料が不足しているのが原因で、今回特に薬を使わず、点滴と食事だけで回復したこともそれを裏づけているそうだ。

つまり 栄養不足 ということですね

この程度で入院というのも大病を患う人に申し訳ない気がするが、思えば一頃よりも食が細くなったのを年齢のせいにしていたのが良くなかった。栄養をしっかり取り、また来年に農作業ができる身体を作らねば。でも、今年もなんとか作業をこなしていのは慣れだったのだろうか。

百円玉とコーラ

この病院は昔、うちの祖父が大病で入院していた。母が毎日のように付き添い、私も時々ようすを見に行った。あるとき祖父が苦しそうに「コ・ー・ラ」と言い、のどが渇いたのだろうと私はベッド脇のテーブルにある100円玉を持って自販機にコーラを買いに行く。

数分して戻ると、病室に医師や看護婦が来て騒がしい。爺ちゃん、飴玉と思い小銭を飲み込んでしまった。処置が終わると小銭などは置かないように注意される。爺ちゃんは疲れた様子で一口飲みたいと言うのでコーラを飲ませるとウトウトしだした。私は残りを飲み干し、一人家に戻った。

その後しばらくして祖父は息を引き取った。そんなこともあって病室は煤けて薄暗い場所に思えていた。今は造りは古いが明るくなった室内でそんなことを思い出した。

とにもかくにも、担当医師、看護師さんほか多くの病院スタッフの皆さん、どうもありがとうございました。

(イラストは©いらすとや)


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