春の訪れと嬉しいお祭り
長く続いた寒さもようやく和らぎ、春の訪れを感じるようになると、どこかしら明るく楽しい気持ちになる。そんな時期であるからこそ、桃の節句 のお祝いは嬉しいお祭りなのだろう。
ところで、この古びた雛人形は、私の母が子供の頃に贈られたものである。まだ戦前で、辰野にいたというから、伊那の街まで行って手に入れたのか。今のに比べるとずいぶん簡素なお雛様であるが、物の少ない時代の子どもには華やかに見えたことだろう。戦中戦後とあちこち移り住みながら、嫁入り先に落ち着いた後はほとんど飾られずにしまわれていたものだ。
おばあちゃんの雛祭り
その雛人形が何十年かぶりに飾られることになったのは、もう何年も前のこと。親しいご近所の皆さんと雛祭りをして、それぞれにお雛様を持ち寄ることになったのだ。最近は雛人形を飾らないことも多いようで、そんなお雛様を持ち寄って盛大に雛祭りをするところもあると聞き、それをまねてみたらしい。
場所はご近所の古いお屋敷で、お座敷にいくつもの雛人形が飾られた。こちらの右上がわが家のお雛様。
こちらは五段、七段と豪華な雛人形。これだけあると飾るだけでも大変だが、おばあちゃんたちが頑張って飾り付けた。失礼なようだが、齢をとると子供のようになるというように、皆さん子供のように喜んで楽しんでいたそうだ。
飾られたお雛様が披露されると、ご近所からも大勢見物に訪れて、にぎやかな雛祭りになったのはありがたいこと。
この雛祭りはその後何回か催されたが、次第に手芸愛好家の作品が中心となり、作者の方々には嬉しい場となったようだ。これほどのお雛様が飾られたのは一度限り、わが家のお雛様にとっても最後のにぎやかな場となり、いくつになっても楽しいお祭りであることに変わりはないと思った雛祭りである。
(来週はお休みいたします。その後はいよいよ本編最終回!)
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