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8月, 2023の投稿を表示しています

夏の野菜を漬けておく ― 丸なすの粕漬け・青トマトの酢漬け

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この時期、夏の味を漬けて残しておこう。 さんざん食べたなすにトマト。それぞれの家庭の味があるように、わが家も野菜を漬けるのが決まった仕事になっている。あと一月ちょっとで食卓に上がる新しいお米のために、ご飯がさらに美味しくなる一品を用意したい。 まずは なす 。すぐ食べるように切って漬けるのと違い、持ちをよくするため丸ごと漬ける。 丸なすのそのまま粕漬 (材料)丸なす5〜6個、塩適量 / 粕床 ― 酒粕 1kg / 砂糖  200〜300g / みりん 3分の1カップ / 塩 50g 1.なすを洗い水気をとりヘタをとる。適量の塩をすり込んでおく。 2.粕床の材料をよく混ぜる。 3.ビニール袋に粕床を半分入れ、用意したなすを入れる。 4.残りの粕床を入れ、空気を残さずに袋の口元をねじってしばる。 上の材料は酒粕が少なさそうに見えるが、ビニール袋を使うと粕を十分含ませられ、場所もとらず無駄なく漬かる。ヘタを切り落とさず、こうしてトゲのあるところをそぎ落として取ると、野菜から出てくる水が少なくなる。 しばらくして粕がゆるくなってきたら、時々ゆすって混ぜてやる。涼しいところに置き、あまり暑ければ野菜室などに入れて 酸っぱくならないように 気をつける。 出来上がり写真がなく残念だが、これで一月もすれば食べられる。秋冬までもつので(3ヶ月ほど)、ぜひ新米と一緒にいただきたい。 その頃にはすっかり漬け上がって 濃いあめ色 になり、ほんのりと香る酒粕の匂いとすっきり塩気のきいた味で、一切れあればそれだけで一杯のご飯をたいらげてしまう旨さだ。 粕床はまた野菜を入れて、人参など漬けると美味しいし、魚もよい。あまり水っぽくなると使えないが、これくらいだと後始末も面倒がない。 たくさんとれた トマトも漬けておこう 。 使うのはまっ赤なトマトでなく、青いトマト。棚を壊して片付ける頃に残った青トマトを酢漬けにする。「ピクルス」で検索しても数多くレシピが見つかるが、わが家ではこんな感じ。 青トマトの酢漬け (材料)青トマト 500g / 酢 300g / 砂糖 100〜150g / 塩小さじ一杯 1.トマトを洗い、1〜2分さっと茹でる。 2.湯から上げて熱がとれたら、ヘタをとり輪切りにする(好...

残りの宿題 ― 田んぼがヒエだらけになったら

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お盆が過ぎて、真夏の暑さはおさまりつつも、まだまだ日中は暑い。今年は夜も暑い。稲も順調に実っているようで、次第に頭を下げだしている。その中に… やっぱり出てきた ヒエ !! やり始めて間もない頃は、これを見て気が遠くなったものだが、今ではこれも風物詩と思えてくる。それに、うまく対処すれば次第に減ってくるものだ。除草剤を使っていてもいつの間にか生えてくるし、一方で除草剤を入れない田でもほとんど見ないところもあるから、手の入れ方次第なのだろう。周囲を見回してもきれいな田が多く、こっちもやらんとなという気になる。 いくつか種類があるヒエは総称してノビエと呼ばれ、食用である雑穀のヒエとは異なるもの。米の中に黒い粒々を残す悩みの種、このあちこちと飛び出したものを 取り除いてすっきりしたい 。 土が粘り気を増して歩きづらい田の中をヒエを目当てに歩き回る。稲の株に近いと、どうしても残りがち。背の低いものは見逃しやすいが、 穂の形と葉の色合い で見分けがつく。上のところを引くとすっぽ抜け、残った本体からまた出てくる。根こそぎ引き抜くのも、ここまで大きくなると大変だ。 そこで 鎌 を取り出し、茎のできるだけ下(○印のあたり)で刈り取る。上の方で刈ると、またすぐ出てきてしまう。写真には小さめのヒエと大きくなったホタルイも見える。細めで根ごと引き抜けるなら抜いた方がよい。 刈り取ったヒエは畦に置かず、 隅の方にまとめ、草をかぶせて種が飛ばされないように しておく。それでも残ったヒエは稲刈りのときにより分けるしかないが、もうその時期には種が落ちてしまっていて、来年もまた同じように生えてくる。 ヒエが多くて困っているなら 田の草取りが追いつかなくてこの時期に多く残ってしまうようであれば、今からでもひと手間かけて ヒエ取りに集中 してみると効果がある。できるだけ種を残さないようにすれば、翌年に生えるヒエがぐっと減り、草取りもしやすくなる。 稲刈り後にどうしても落ちた種が残るものだが、それも年々少なくなっていく。ちなみに、田植えのときに水面にたくさん浮いている黒い種は、手にとってみるとほとんどは実のない殻なので、あれが全部生えてくるわけでないのでご安心を。 これで残りの宿題は片付いた? いえ、まだ終わっていないのだ。 でも、慌てることはない。手を休めて田んぼの中...

身近なところの歴史に残る場所

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田んぼ仕事も 夏休み 。今回は、いつも見ている景色の向こうに行ってみよう。 あれは小学校の最終学年の頃だったか、学校行事の遠足とは別に学級単独の社会科見学と称して十数km離れた松代町へサイクリング旅行をしたことがある。道路も今ほど整備されておらず、あぶなっかしい話だが、子どもなりに列を整え楽しく自転車を漕いで行ったものだ。その目的地がここであった。 松代大本営跡 、当時はまだ公開されておらず、地震観測所が置かれていた。 周囲と内部の観測所を少し見ただけだったが(上の写真は当時、昭和50年代半ばのもの)、こんな山中に長いトンネルがあることはもちろん、信州しからば「神州」と大本営を移転しようとは、ただ驚くばかりだった。 その後、遺跡として保存する活動が始まり、平成を迎える頃には、大本営跡として一般公開されるようになった。 30年以上も経って再びここを訪れたのは暑い夏の日のこと。入口前で受付をすませ、ヘルメットを受け取ると中へ進むことができる。総延長10kmあまりと言われる地下壕のうち、公開されているのは数百メートルほど。狭くて暗い通路を歩いていくとそれ以上の距離があるように感じる。 内部の温度は夏でも15℃程度といわれ、半袖だと次第に寒気を感じるくらいになる。懐中電灯を持ってくればよかったと後悔したが、壁面などはフラッシュを使った写真で何とか見て取れる。 途中通路が分かれている箇所には金網が張られて立ち入り禁止になっている。こちらは金網越しの写真で、これ以上は進めない場所から見たようす。よく見るとずっと先にトンネルの反対側から光が差し込んでいる。 表に出ると先ほどまでの暑さも忘れ、長く閉ざされた遺跡を公開にこぎつけた市民の力に感銘を覚えつつ、誤った計画が失敗の道を突き進むとは何と不幸なことかと思うのだった。 関連ガイドはこちらで。      松代象山地下壕のご案内 - 長野市公式ホームページ      松代大本営 見学ガイド 長野市の小さな町、松代には城下町のさまざまな史跡が残されている。合戦場となった川中島への拠点として武田信玄の命により築城された 松代城(海津城) 跡をはじめ、松代藩の藩校「 文武学校 」など江戸時代の建築、幕末の藩士で後世に大きな影響を与えた 佐久間象山...

里山の風景今昔

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一面のひまわり畑。棚田の風景も一部リニューアル。 梅雨時に植えていたのは何かと思えば、これだったのか。目を引く花を見ながら上がってくると、坂道も苦でなくなる。耕作放棄された土地がよみがえったようで、新たな見どころの一つとなるか? 里山を彩る花々はこれに限らず、畦に生える草もきれいな花を咲かせてくれる。白い花のヒメジョオンなどは好んで残して楽しんでいる田んぼをよく見かけるし、小さな花のシロツメクサは残しておくと役に立つのは こちらでお話し したとおり。以前はコスモスももっと咲いていた。 訪れる人はこれらの草花も一緒に風景をカメラにおさめているから、やはり里山には欠かせない存在なのだろう。ある時、ときどきやって来るという写真愛好家から、「ここに彼岸花がありませんでしたか」と尋ねられたことがある。確かに以前は道端にきれいに咲いていた彼岸花が姿を消してしまっていた。二人して残念なことと声を上げたものだった。 あえて残す ― 草刈りの植生の関係 先頃の草取りの件で目に止まった『 長野県姨捨地区の棚田畦畔法面の草刈り管理による植生変化 』という論文がある。今から20年以上前の棚田の植生調査についてまとめたもので、一般の注目を集めるものではなかろうが、当時の田のようすが伺えるようで興味深い。 農家を対象のアンケートもなされ、特定の植物を刈り残すことについてこう記してある。 “ 目的とする植物種は,キキョウ,クサボケ,ゲンノショウコ,ドクダミ,ナデシコ科の植物(種名は不明),フキ,ヨモギなどで,食用の他に薬用や観賞用として利用するという。刈り残さないまでもそうした植物を利用するという農家は8戸* あった。 ” (*回答を得た農家11件中。これらを残すとしたのは2件) 十年一昔、ふた昔もすれば景観も多少変わったことだろう。今や周囲の地元の田も含め、所々に意図して残したらしい植物を目にはするが、多くはすっかり整備された畦畔だ。棚田をひと回りしてフキ一つさえなかなか見つからない。 カメラや景観のために草を刈っているのではないという声が聞こえてきそうだが、こればかりの広さのオーナー田だからこそ、豊かな植生を維持するのに最適な場所だと思うのだ。そう手間のかかることではなく、フキなど残しておけば、さらに楽しみを増やしてくれる。 残してはいけない植物もある ...

稲に花が咲く ― お米の花を見る

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暑さが収まらないうちに秋が来るのが日本の暦である。それでも夕立でも降ればだいぶしのぎやすく、日中も棚田に行くとほんの少し秋らしさが感じられる。 8月に入り田を見回すと 出始めた穂 が目につくようになる。 今年はこれまでの暑さもあり、例年より穂の出が早いようだ。あちこちの穂が出てきて1週間もあけずに行ってみるとすっかり穂が出揃うこの時期(穂揃期)は田んぼに行くのがとりわけ楽しい。 稲の花はどんな花 田植えの時期にもよるが、稲は8月初旬から下旬にかけて穂を出す。田植えから60日程度かかる。 まず成長した稲の茎から穂が押し出るように 出穂 する。先の方から花が咲き始め、おしべが出てくる。午前中の1時間ほどで 受粉 を終えると花は閉じる。下の写真もよくよく見るとわずかに開いている花があるが、残念ながらほとんど閉じた後である。 8月に入ると大気が不安定になりがちで、突然の雷雨に見舞われることがある。雷のことを 稲光 や 稲妻 とも呼ぶのは、大昔に雷に稲を実らす力があると信じられていたとする説がある。恐ろしいほどの雷鳴を聞くと、稲に特別な力を与えると思うのも分かるような気がする。 この時期でお米の味も決まる 8月下旬から一月ほどの登熟期(とうじゅくき)を経て収穫を迎える稲は、養分を蓄えた米粒が大きくなり、乾燥して硬くなる。その間は、好天で気温が高いことが好条件とされ、一方であまり温度が高いのも好ましくなく、最近は夜の気温もなかなか下がらず厳しい環境だ。昨年の8〜9月は雨が少なく乾燥し、水分の少ない米だった。 この時期の 温度が高すぎる と、 米粒が割れる (胴割れ)だけでなく、 味が落ちる 原因にもなるといわれ、私の体験もそのとおり。田植えも収穫も一月近く遅い「下の田」で収穫した米と比べると、舌を頼るしかないが、「上の田」が今一つふるわないのは暑さが厳しい夏なのだ。条件が変わると、味の評価は変わってくる。 ひいき目にも手植えと手刈りの米が勝ってよいはずが、この結果はやはり暑さの影響とみてよいだろう。品種の違いもあるが(下の田は「風さやか」というさっぱりした味の品種)、こちらは9月にかけて穂が揃い、涼しくなって成熟するのでその点有利だ。稲にも人にも、あまりに厳しい暑さはありがたくないことで、思いどおりにならない天気に祈るほ...