梅雨のひと仕事 ― あんずのシロップ漬け

梅雨のさなか、森の あんず が収穫を迎えた。今年もあの甘酸っぱい味にひかれ、手に入れようと出かけたが、あまり出来がよくなかったらしい。安定しない気候は作物には厳しいようで、粒が揃わず、お目当ての「昭和」は品薄、やむを得ず「信月」という品種を使うことにした。見た目は淡い色で、2つに割るとあんずらしい橙色。加工用に適しているとのことで、何とかなるか。

ちなみにこのあんずはあんずの里物産館で入手したもの。以前は地元の農家から直接いただいていたが、栽培を止めてしまい仕方ない。それでも、早めの時期に朝早いうちに行くと良いものが並んでいる。

あんずシロップ漬け

(材料)あんず2kg / 砂糖 700g / レモン果汁少々

1.あんずを1時間ほど水につけ、汚れとアクをとる

2.実の筋に沿って割る(切目を入れてひねると楽)

3.鍋に実を並べ、砂糖をまぶす(ここではビニール袋を使う。レモン大さじ2〜3、保存料代わり)

4.一晩した浸けた実とシロップを保存瓶に入れる。

5.脱気をして、しっかりフタを閉める

シロップ漬けというと、あんずを煮詰めてシロップを注ぐ方法があるが、ここでは砂糖漬けにしてシロップを作る。硬い実が一晩で柔らかくなり、果汁がしみ出たシロップができる。実の切り口を上に向けて砂糖を盛るようにふりかけ、袋を閉じて朝まで置く。鍋であればホーロー鍋がよいだろう。熟して柔らかい実は崩れてしまうので、ジャムなどに使う。

実際、今回は果皮にツブツブの目立つ実が多く、食べて大丈夫でも見た目が悪いので半分ジャムにした。漬けたあんずとシロップ、水少々を鍋に入れ、1時間も煮込むとすっかり実が崩れてくる。あんずの糖度が 10% くらいだから、砂糖と合わせるとせいぜい 45% の低糖度。この信月は酸味も控えめのようで、ほどよい味になるだろう。

さて、シロップにたっぷり浸ったあんずを 瓶詰め する。この量なら中サイズ(450ml)の保存瓶で6つできるが、半分ジャムにするからシロップ漬けは3本。煮沸消毒して熱がとれたらあんずを入れる。実のサイズにもよるが1瓶に 12〜14 個ほど、少し余裕をもたせる。瓶の中で浮いていても落ち着くと沈んでくる。シロップは溶け切らない砂糖と一緒に入れる。

続いて 脱気。湯を煮立てフタを緩くかぶせた瓶を入れ、できるだけ中の空気を抜く。シロップは瓶の口から 1cm 程度。冷えると肩口あたりまで下がってくる。5分くらいで瓶を取り出す。布巾などを使い、火傷に気をつけフタを閉める。粗熱がとれるとまだ増締めできるので手加減して閉める。後で開けるときはオープナーを使うのがお勧め。

冷えるとフタが少し凹み、何か映り込ませると確認できる。うまくできないとやり直し。最後に密閉した瓶を逆さまにして置く。浮き出したあんずが数日すると中に沈むので、元に戻し冷暗所・冷蔵庫で保存する。しばらくすれば食べられるが暑い頃がちょうどよく、秋まで美味しく食べられる。あんず風味のシロップは、紅茶によく合う。

こちらはだいぶ前にうちの母が作ったもの。「よくしたもの」と笑うしかないが、人にあげては喜んでいた。次第にこれほどの数は作らず、力のいる仕事を手伝いながら作り方を覚えたわけだ。なるほど、きれいに漬かったあんずを見ると、嬉しくて眺め回す気持ちになるものだ。


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