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9月, 2023の投稿を表示しています

稲刈りの日 ― 昔ながらの手仕事

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爽やかな秋の風が吹き、棚田が再び多くの人でお祭りのように賑わう一日。 わが家は毎年3〜4人での稲刈り。一家というよりも一族総出といったところか。これでもなかなか忙しく、昨年は事情により2人だけで仕事をしたが、こうなると口を開く暇もなくなる。3人以上いれば行楽気分にもなるだろう。 今年の収穫に感謝 田植えに夏の草刈りと、すべては収穫のためと考えると、この時期あちこちの集落の神社にのぼりが立ち、秋祭りを祝うのもごく自然のことに思える。お神楽の囃子とともに、稲を刈っては束ね、はぜ掛けをするすべての手順がまるで 豊作の儀式 のようだ。 お決まりの仕事でも、稲の束の置き場を工夫すると楽になるし、はぜ掛けはバランスよくきっちりかけないと後でひっくり返ることもある。ただ、はぜ掛けした稲がきれいに並ぶ地元の田んぼのようにできないものかと思案しても、翌日には稲がしんなりとしてきれいに揃うものだから、余計な心配はせずにおこう。 青空が見えなかった今年のお天気、こればかりは仕方ない。雨は日を選んでくれない。前日までの雨はほどよいおしめり程度だったのが幸い。 数日雨が続いた数年前(写真)は田植えのように水びたしで、こうなると少しばかり覚悟が必要になる。ピクニック気分どころでなくなるが、降りしきる雨よりはましと思いながらさっさと片付ける。 皆そろって田んぼ仕事 といえば、お楽しみは一服のとき。 爽やかな青空なら最高だが、雨空でないだけでもありがたい。前夜凍らせておいたぶどうがほどよく冷えている。これを口にするだけで刈る作業には十分。ようやく一段落したら、畦に座り込んで握り飯のお昼。このために働いたような気がするひとときだ。 稲刈りの後に晴天が続くと一安心 オーナーの中にはお子さん連れの家族も多い。この時期の田んぼは子どもたちに絶好の遊び場になる。賑やかな声を聞いていると、手先を動かしながら、頭には小さな頃の自分が浮かんでくる。 小さい頃 よく田んぼで遊んだっけ 。小学校に上がると、秋休みがあってよく手伝いをしたな。一輪車にたくさん藁を積んで運ぶ途中、水を引く小川があって、細い板の橋を気をつけて渡るんだ。よくじいちゃんが川にコーラの瓶を入れといて美味しそうに飲んでいた。そうだ、 “母さん、僕をあの小川に突き落としたのは誰だったでせうね?” …手伝い...

旬の果物を美味しく ― 須坂・高山でぶどう狩り

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ここ千曲市から少し離れた須坂市は古くから ぶどう の栽培がさかんな土地だ。 親戚の家があって互いによく行き来するのだが、この季節に出かける目当ては何と言ってもこれ。 人気のシャインマスカット、ナガノパープルにクイーンルージュと揃う中、昔ながらの 巨峰 も長野県は全国トップの生産量だ。(ここに写っていないのはどれだろう?) この頃の品種の皮ごと食べられる手軽さもよいが、定番の巨峰が一番人気なのもなるほどうなづける。 千曲市もぶどう栽培に力を入れ出したとはいえ、須坂・高山は標高が高く、一日の気温差も大きいことから、この種の果物の栽培に適しているのだろう。時期になると豊富に品が出回るので買い物もしやすい。今年は色づきがやや悪かったそうで、そんな中でもよい品を求める人で販売所は賑わっている。 どれにしても、前日に冷凍庫に入れておくと翌日の 稲刈りのおやつ にちょうどよい。 秋の渓谷を行く 旬の味だけでなく、山々の豊かな自然を楽しめるのもこの地域のいいところだ。とりわけ見どころに上がることが多い 米子大瀑布 は、数年前の台風による被害を受けて長らく道が閉鎖されていて、今年5月にようやく再開されたという。かなり以前に行ったときは、狭い山道が続く山奥の素晴らしい景色に夏の暑さを忘れたことを覚えている。 そのほかにも、方向を変えて高山の集落から渓谷を上がって行くと、こちらにも見事な景色が待っている。松川渓谷の 雷滝 は落差 30 メートルほどと、スケールは小ぶりながら滝の下をくぐって裏から流れ落ちるさまを見られる「裏見の滝」として知られている。 これまた もしもの話 で遠方から棚田に来るとしたら、稲刈りに合わせて一度このあたりの静かな温泉宿に行ってみたい。ゆっくり疲れをとって、翌日は散策などしながら、とれたての果実を味わい土産にする。申し分のない計画だが、また紅葉の時期に来たくなるのが悩みどころだ。その頃にはりんごが待っているのだ。 この裏見の滝は、暑い夏に涼を求めに行くのも、色づく紅葉を見ながら行くのも、真冬以外は流れ落ちる水を間近で楽しめる。 一枚だけ見つかった写真は遅い秋のもので少し残念。紅葉の盛りには木々の彩りが映える絵になることだろう。

あとは稲刈り待つばかり

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「実るほど…」のことわざどおりになってきた棚田の稲。 7〜8月と猛暑が続く中、お隣の新潟県では深刻な水不足と干ばつが広がり、全国的にも記録的な暑さからカメムシが大発生して多くの県で注意報が出るなど、この夏の暑さを象徴するような出来事に見舞われた。幸いにも、県内には害虫の注意報は出ておらず、枯れることのない姨捨棚田の水源はありがたいこと。 水と言えば先日、稲刈りに備えて名月会の方々が 水を落とし ているところに出くわした。草に覆われていると気づかないが、あちこちに「栓」があって、それを抜いていくと棚田を上から下へと水が落ちていく。それを見ていると、平地とは違う複雑な水の流れに感心するほどだ。日々広い棚田を歩き回って水を管理していただいたことに感謝しよう。 何と言っても記憶にある限り 最も暑い夏 ― 最高の暑さを記録した夏であった。 とかく疲れがたまる暑さだったが、こちらもすっかりお疲れのようす。 もっともこれは先月下旬の頃で、その後間もなくすっかりしなびてしまった。元気に花を咲かせる時期は案外短いものだから、これを目当てにやって来た人たちはがっかりしたことだろう。ひと夏楽しませてもらってご苦労さんと言わせてもらおう。 秋の棚田の見どころ 暑かった夏が過ぎると、棚田に秋の景色が訪れる。とりわけ秋の夜は 夜景ツアー の団体に人気がある。この戸倉上山田温泉からバスで夜景をめぐるツアーは今年も行われているようだ。 ツアーの日には、日頃は静かな長楽寺にも大勢の人が集まり月見をしている。棚田の方にも月見客があふれ、なかなか賑やかだ。 こうなると静かに夜景を眺めるには自分の田んぼが特等席になる。日が暮れて辺りが暗くなるにつれ、街のあちこちに灯りが点きはじめる。夜景では田植え前後の時期に人気があるが、夕暮れ時はやはり秋だろう。 9月中頃には、地元の田の稲刈りが終わり、あとはオーナー田を残すのみ。薄暗がりの中では、稲刈り前よりもはぜかけをした田んぼの方が絵になるかもしれない。

秋には雑草も穂をつける

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まだまだ残暑が続く中、少しずつ秋の訪れを感じるこの頃。初秋のさわやかな空に薄く雲がかかった日などは棚田の風がとても心地よい。稲刈りまであとわずか、まだまだ雑草も元気だ。雑草は夏にかけて最も成長するのはもちろん… イネ科の雑草は 秋に一段と成長して穂をつける 。 夏休み最後の宿題に、元気な雑草たちの中から目立つものをあげてみた。どちらもイネ科の雑草である。まずは、 メリケンカルカヤ ― 以前に比べて目にすることが多く、勢力を増しているものと伺える。うちの田の斜面の上の方に一群を見つけた。外来種で繁殖力が強く、要注意外来生物に指定されている。 茎に沿って出ている葉のところの綿毛のような白い毛の出た穂が特徴。株が大きくなると引き抜くのも大変で、小さいうちに取り除きたい。 コメヒシバ ― この時期、道端や空地などどこでも穂を出している草。穂の先が2、3本に分かれているのが特徴。もう少し先の本数が多くて大きいのがメヒシバ。 低く横にはうように広がって大きくなり、完全に取り除くのが大変。穂をつける前に、小さいうちに手刈りで根ごと引き抜くのが最善で、機械で刈っても根元が残る。以前お話した シロツメクサを残しておく と、これといい勝負をして陣地を取り合ってくれるが、それでも押され気味のことが多い。 畦草の植生をよく見ておこう これまで話に出ていなかったが、周囲の田の畦も含めて地面をよく見ると ノシバ(野芝) が隠れているところが多く、その勢いがいいとコメヒシバなどが生えにくいようだ。ほどよくノシバが生えてきて、そこをシロツメクサが覆ってくるのは理想的な植生で、 美しい里山 の姿と言える。 実際、多くの田の畦に生えている草の中にはノシバが見つかるはず。畦草の管理には、 この芝を植え付けて雑草を抑制する 方法もとられるほどだ。それを知れば、わざわざ削り取ってしまう気になるだろうか? ノシバを刈るには、庭用の芝生と同じく2〜3cmくらいの高さがちょうどよい。あらためて強調すると、地面を削るような刈り方をせず、効果的に 高刈り をすれば、有益な草たちが勢いを増してくることは実証済みである。 この時期、以前にもふれたとおり4回めの一斉草刈りをしていたときがあった。3回となった現在は、あまりに雑草だらけであれば稲刈り前に一度刈っておいた方が良いと思う。そ...